2024-08-01

ホワイトオーク　ルーバー扉のテレビボード

全面ルーバー扉を取り入れて壁間にすっきりおさめる

新築マンションのリビングダイニングの壁幅いっぱいにテレビボードをつけたいというご相談をいただきました。（２年ぐらい前のはなしをようやくまとめました）

お近くということもあり工房までお越しくださり、最初の打ち合わせで顔をあわせてお話する事ができました。新築マンションということで、引き渡しから引っ越しまでの限られた期間に取り付けるので、引き渡し前までにある程度形を決めて、現調に入れる日程にあわせて採寸して制作図面をつくるという流れに。最初の打ち合わせ以降はメールにて、具体的なご要望を平面図上の寸法にデザインや機能面を落とし込みながら進めていきました。

最初の打ち合わせから図面を作成して数回のやり取りでブラッシュアップ

最初の提案ではオークの素材を全面に出した板戸の重厚な雰囲気でしたが、話を進めていくとテレビ機材を入れる一部にルーバーを取り入れたいとご要望があったので、それならいっその事、全体のまとまりを考えて全面ルーバーを提案してみました。ホコリやお掃除の問題もあるので、その点も踏まえながら確認しつつ進めていきます。

使い勝手につながる機能面

ルンバの充電スペースとプリンター置きのスライドテーブル

機能面ではルンバを充電するルンバステーションを取り入れることや、プリンターの出し入れができるスライドテーブル、棚は調整できる可動棚を採用しました。本体を軽く見せるように台輪を通常より奥に据え付けているので、あたかも浮いているような感じにしています。壁面だけで固定して完全に浮かせる方法もありますが、お子様もまだ小さいので安全面も考慮しつつ、ここはしっかり台輪を据えて固定する方法に。

ルンバステーションは普段扉が閉まっていても下から入れるように、そこの一部だけ台輪をなくしています。スライドテーブルは限られた高さに、奥行きを持たせることができるので利便性があがる機能です。キッチンでは蒸気の問題などから炊飯器置きによく使われます。

ルーバー開き扉を全面に採用

ルーバー扉には取っ手をつけていないので、すべて押して開くプッシュオープンになっています。中の棚は可動式で収納にあわせて。といっても打ち合わせ時点である程度収納するものが決まっていたので、無駄なくスペースを使える割り当てになっています。

ここの収納スペースは格子の隙間から中が見えないように裏板を付けました。もちろん取り外しできるようにしてあります。最初は中が見えないようにする予定でしたが、納めた時の全体像をみるとルーバーのメリハリが裏板があることによって薄れてしまうので、せっかくの見せ場なので結局取り外すことになりました。グレーの薄暗いアクリルを利用すればまた違った見え方だったかもしれません。またの機会に。

ひと手間を惜しまず

板を割いて格子にするので木目は当然そろいます

ルーバー部分はもともと同じ板材から割いて格子にしているので、木目や色合いはもちろんぴったりそろいます。一本一本にナンバリングしておかないと組み立てるときに配置を間違ってしまうので手間ではあるのですが、揃ってみえると手間以上の達成感を得ました。

ルーバーの面と隙間の寸法は悩むところですが、全体の寸法から割り出して、面と隙間をできる限り小さくすることで軽やかな雰囲気にできたと思います。

天板の取付に苦労するも、とてもいい仕上がりに

天板には配線孔と２口のコンセントとUSBを

天板は３枚矧ぎの壁間長さ３メートル１本ものにしました。仕上がってる壁面に設置する場合は逃げとして、壁と天板の隙間が見えないように見切りとして廻縁を入れるのですが、折角ルーバーですっきり見せているので、できる限り余計なものがみえないようにしました。ということで隙間なく取り付けるために天板を削りあわせをしていきます。長さが３メートルもあるので苦労したのは言うまでもありません。勢いで削りすぎても隙間になるし、ちびちびだと日が暮れるし。具合を見るたびに３メートルの板を持ち上げたり、おろしたり。設置のハイライトです。時間は掛かりますが結果的にいい仕事ができました。とはいえ３面幅いっぱいなので、壁が仕上がってるところに設置の場合は、傷の危険もあるので逃げが必要かなと思ったり。いろいろ経験です。